企業の成長のためには、経営者だけではなく、従業員にとっても企業家精神はとても重要です。
経営者なら、シュンペーターやドラッカーについては、一度くらいは触れたことがあるかもしれません。
企業家精神を端的にいうなら、新しい価値を生み出す創造性やイノベーションの意欲を持ち、マネジメント能力を備え、常に学習し続け、賛同者だけでなく批判・反対する者との人脈も大切にする精神でしょうか。
せっかくなら毎月開催する衛生委員会で、従業員の「企業家精神」を育むことができるといいと思います。
産業医として活動をしてきましたが、50未満で法律で義務がないのにもかかわらず、産業医顧問を依頼する企業様のメンバーは、経営者の方を筆頭に従業員の方もイノベーターやチャレンジャーが多いと感じます。
自社の衛生委員会がマンネリしてきたなと感じたら、「変化」を起こしてみるのも良いと思います。
残念な衛生委員会
①審議事項の共有が会議がはじまってから
設置間もない時期は、議事録が借り物のテンプレートなので仕方がないかもしれませんが、出席委員も設置目的や自身の役割などを理解できないため、事前に審議事項を共有しておくと良いと思います。
最近は、会議の効率化などが注目されており、事前にメールなどで議題が共有されることが増えてきました。
②長時間労働の確認に多くの時間をさいている
長時間労働者の確認はとても安全・衛生両面でとても重要です。ただ衛生委員会で審議するのは長時間労働による健康障害の防止ですので、確認に多く時間をさくよりも、時間外ろうどうの削減方法や業務効率化についてや、長時間労働者の健康障害リスクについて審議していくと良いと思います。
③議長だけが話をしている
議長が司会進行し、スライドを提示している委員会も残念でならないです。従業員と一体で職場の危険や健康障害について審議する場ですので、議長の発言は最小限であるべきで、出席委員が積極的に意見を出せるようにする工夫が大事だと思います。
④産業医が発言しない
そもそも委員会への出席義務がないために参加していない場合もありますが、会議のうち5分だけ、オンラインでも良いので産業医に質問や意見を聞いたり、衛生教育をしてもらう時間をもうけると良いと思います。
⑤審議したことがいかされない
審議したことについて、職場環境などにいかされないと、開催している意義がうすれてしまいます。PDCAを回すことで
企業家精神を育む衛生委員会の例
①衛生委員会の年間計画が全従業員に共有されている
年間計画を策定して、委員会のメンバーだけでなく全従業員に共有されていると、委員会のメンバー以外の意見などを反映させるのに有効となります。
②委員会出席の通知が3回
委員会終了時に次回の日程確認、1週間前に審議事項と出席確認、前日や当日にも審議事項の通知がされる
③議長は最初の挨拶のみ
議長は開催宣言と審議事項を発表し、自身の発言が終了したら、委員を指名などして委員に発言をさせるように促します。
④従業員が活発に発言
関係のなさそうな意見も歓迎し、変化や課題の洗い出しをします。
⑤審議事項、議事録が即刻全従業員に周知される
⑥各部署で小さなPDCAが回る
⑦委員会のメンバー以外も活動に協力